放射能泉といわれるラドン(ラジウム)温泉として秋田の玉川温泉、鳥取の三朝温泉が有名ですが、源泉からラドンを含有する蒸気や温泉が自然発生し一帯に広がっており、ラドンガスを体内に取り込むと細胞が活性化され治癒力や免疫力が高まりホルミシス効果が実践的に確かめられてきました。 ラドンは天然に存在するラジウムが崩壊して生じる放射性希ガスです。 秋田の玉川温泉では昭和初期に「玉川温泉研究会」が発足して、東北大学、岩手医科大学、弘前大学などにより臨床的研究が行われたことから、「難病を治す」「ガンに良い」と評判になりました。玉川温泉の特徴は、この地域特有の放射性鉱物の北投石(ほくとうせき)です。この石は温泉の成分が沈殿したものと考えられ、特別天然記念物に指定されています。玉川温泉の源泉である大噴(おおぶき)から噴出するラジウムを含有する温泉の蒸気が玉川温泉一帯に広がり、呼気からラジウムを吸収できます。岩盤からもラジウムが放出され、多くの人が岩盤浴に訪れています。 鳥取県のほぼ中央に位置する三朝温泉は、世界屈指のラジウム温泉で、ラドン濃度が高く2,000ベクレル/㎥と計測され、周辺部の約2.5倍の線量です。これは、三朝町の南にあるウラン鉱脈の人形峠の地下水が湧き出したもので、ラドンガスが大量に放出されます。 オーストリアのバード・ガスタインは放射線ホルミシスの「世界の殿堂」といわれ、かつてローマ帝国時代から有名な温泉保養地でした。 バード・ガスタイン村の近郊には金山があり、1500年代に最盛期を迎え、多くの坑道が掘られました。そのため、鉱山労働者が訪れ坑道を掘っていたのですが、リウマチなどの関節痛に悩まされていた抗夫の病状が良くなるという不思議な現象が起こりました。 その理由を調べたところ、坑道内に充満しているラドンガスによるものだと判明し、ガスタイナー・ハイルシュトレン(治療用坑道)として使用されるようになりました。19世紀には王族や宰相、資産家や著名人も多く訪れる人気の保養地となりました。 【ラジウム泉とは】 ラジウム泉とは人体に害のない、ごく僅かな自然放射線(ラドン)が発生しています。ラジウムの全形であるウランは、地殻の深くに存在する物質ですが、マグマとともに地上近くまで押し上げられる過程でラドンが発生します。通常、ラドンは地下に蓄積しているのですが、地下水が湧出する際、ラドンを含む地層を通ったお湯は、ラドンを含む温泉水になります。